放射線治療
放射線治療とは
◆現在がん治療は、手術・抗がん剤・放射線治療の3本柱で行われています。
その中で放射線治療は、手術のように身体を切ることなく行われることで腫瘍のある臓器の形態や機能を損なうことが少なく、抗がん剤療法より全身への副作用が少なく行われる治療法です。
◆目的に応じて抗がん剤と併用して放射線治療が行われる場合や、
手術の術前・術中・術後などに放射線治療が行われる場合もあります。
放射線治療の特徴
放射線治療は即効性のないのが普通です。放射線は主に細胞の中のDNAを切断することで身体の細胞に影響を与えます。そのとき、正常細胞のDNAも切断されてしまいますが、正常細胞ではDNAの切断は修復され回復します。
腫瘍細胞ではうまく修復されず致死的障害になります。
細胞の分裂する速度によって速ければ効果も早く出てきます。
前立腺の強度変調放射線治療の計画
放射線治療の種類
【外部照射】放射線治療を行う多くの方がこの照射法で行われます。 |
CLINAC |
【内部照射】直接身体に放射線を発生する針等を刺入したり、子宮のような腔内に管を入れて、その中に放射線を発生する線源を出し入れすることにより身体の内部より放射線を照射する方法です。 腔内に管を入れて行う場合はRALS(Remote After Loading System)という機器を用います。この場合も身体が放射能をもつことはありません。 患部に放射線を発生させる線源を埋め込んだ場合でも身体内に放射能を埋め込むので一定の期間周囲への注意が必要だが約2か月で埋め込み時より線源の強さが半分になり、約一年で周囲への影響はほとんどなくなります。 |
RALS |
放射線治療の進め方
・放射線治療医が診察を行い、さまざまな検査結果を参考に治療する方法を選択し、
放射線が投与されます。
・通常1日2Gy(グレイ)前後の照射線量で、土日祝日を除く毎日照射を行い、
2週から6週間程度に分割して放射線を照射します。
・照射期間中に照射によって縮小した腫瘍に対して照射範囲を小さくしたり、副作用の出やすい
臓器を避けるため、照射方向を変えたりするため再度治療計画を行うこともあります。
・一人一人の治療の目的や、照射する部位などによって
放射線治療医が最適な放射線の照射線量と照射期間を決めます。
放射線治療での副作用
・放射線治療での副作用は治療範囲以外には放射線は照射されていないので
基本的には照射範囲以外にはあらわれません。
・照射部位により脳・頭頸部領域では頭痛・吐き気、脱毛、口内乾燥、口腔・咽頭の粘膜炎、
胸部・腹部領域では食道炎、放射線肺炎、胃炎・十二指腸炎、
骨盤領域では膀胱炎、下痢などがあります。
外部照射では皮膚を介して放射線は体内に照射されるので皮膚炎をおこす場合もあります。
・しかし、副作用には個人差があり誰にでもあらわれるというわけではありません。