放射線検査案内
X線撮影
乳房撮影(マンモグラフィ)
マンモグラフィ検査
乳房は構造上、乳腺密度により4つのタイプに分けられます。
【マンモグラフィ検査のメリット】
- ・触診では発見できないような小さなしこりや、
早期乳がんの可能性がある微細な石灰化を映し出せます。 - ・多数の目で客観的に診断できます。
- ・過去の写真と比較し、わずかな変化をとらえることができます。
【マンモグラフィ検査の特徴】
- ・乳腺密度が低い乳房の方が適しています。
- ・乳房を透明の圧迫板で均等な厚さに薄く伸ばして撮影します。
- ・左右別々に撮影を行います。
- ・被曝があります(1年間に浴びる自然放射線より低い放射線量)
マンモグラフィと超音波検査
【マンモグラフィの弱点】
- ・個人差はあるが圧迫時に痛みを伴う場合があります。
- ・乳腺密度が高い方、授乳中の方、手術後の方は異常を見つけることが難しい場合があります。
【圧迫の必要性】
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【超音波検査のメリット】
- 痛みや被曝を伴うことなく、繰り返し検査ができます。
- 乳腺密度の高い方はマンモグラフィより腫瘍を発見できることがあります。
【超音波検査の弱点】
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超音波検査装置 |
マンモグラフィー(乳房X線撮影検査)
CT検査
CT検査とは
CT検査とはComputed Tomography(コンピューター断層撮影)の略で、X線を扇状に照射し、X線管と検出器を回転させながら データを収集して画像を得ます。体の横断像(輪切り)の画像が得られ、臓器や組織を識別し、さらにコンピューター処理により骨や血管の3次元像を作成することができ、病気の診断にとても役立つ検査法です。 |
CT検査方法
検査時間は、撮影する部位によって変わりますが約5~20分です。検査の流れは、検査台に横になり安静にしてもらいます。ガントリーとよばれる円筒形の部分を検査台が通過し撮影します。胸部や腹部の撮影では数秒間息を止めて撮影します。また、検査の目的によって造影剤という薬を血管に注射して追加の撮影を行う場合があります。 |
CT検査の注意点
a.一般的なX線検査と同様、衣類に金属などが付いていると画像に悪影響を及ぼすので取り外して撮影します。妊娠している方、妊娠している可能性のある方は検査ができないことがありますので担当医に確認して下さい。
b.造影剤を使用して検査する場合は食事制限があります。また、喘息の既往や食物、薬に対するアレルギーがある場合は造影剤を使用する検査が受けられない場合がありますので担当医に確認して下さい。
【臨床例】
肺疾患(はいしっかん)
腹部大動脈瘤(ふくぶだいどうみゃくりゅう)
閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)
深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)と肺塞栓症(はいそくせんしょう)
骨系の疾患
MRI検査
MRI検査とは
MRI検査とはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴断層診断装置)の略で、CT検査のように放射線を使わず、強い磁石とFMラジオに用いられている電磁波を用い、水素原子の共鳴現象を利用して、体の中の様子を画像にする検査です。エネルギーの与え方や収集するタイミングを変える事によって様々な画像が得られます。特に軟部組織のコントラスト分解能に優れています。 |
MRI検査時の注意事項
MRIで使われる磁石や電波は、普通人体への影響はありません。次のような方は検査ができない場合があります。担当医または検査担当者にあらかじめお知らせ下さい。
・原則として検査できないもの
- 心臓ペースメーカー
- 神経刺激装置
- 除細動器(ICD)
- 眼球内の金属異物
- 人工内耳
・材質の確認が必要なもの
- 脳動脈クリップ
- 人工関節
- 義眼
- 人工心臓弁
- 心臓ステント
- 磁力で調整を行うシャントチューブ
・その他
刺青、永久的なアイライン等は、腫脹・変色等が起きる可能性があります。
強い閉所恐怖症の方は、検査できない場合があります。
妊娠中または妊娠の可能性がある方は、原則検査は行いません。
(胎児のMRI検査の安全性は確立されていないためインフォームドコンセント後に行います)
検査前に外さなければならない物
次の物は故障したり、検査に影響したりすることがあるので検査前には取り外さなければなりません。
外せない場合はスタッフまでご相談ください。
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検査室へ
取り外し可能な金属を外して検査室へ着替えが必要になる事もあります。
撮像中は装置から工事現場のような「ガーガー」や「トントン」等大きな音がします。
聴覚を保護するためヘッドフォンや耳栓をします。
一回の検査で、複数回の撮像を繰り返し、適宜造影剤使用し検査を進めます。
一般的に20分〜40分で終了します。
MRI画像(臨床例)
一回の検査で、複数回の撮像を繰り返し、適宜造影剤使用し検査を進めます。
一般的に20分〜40分で終了します。
3T(テスラ)MRI装置について
3T-MRI装置は、我が国では2003年に頭部用、2005年に全身用の装置が薬事承認され急速に普及しつつあります。従来より使用されているMRI装置に比べて静磁場強度が高いため、信号とノイズの比であるS/N比がよくなり高分解能の画像や高速の撮像が可能になりました。
・細かいところがより見える静磁場強度が上がれば、得られる信号も強くなります。 |
・血管の描出(Magnetic Resonance Angiography)
3T-MRI装置ではT1値という時間が延長するため、 |
・脳の活動がわかる脳機能イメージング(Functional MRI)
脳の活動による血流の変化を用いて脳の機能を画像化することができ、脳科学研究において重要な役割を果たしています。臨床応用としては、脳外科術前の運動野や言語野のマッピングに使用されています。 |
【MRI対応視覚聴覚刺激装置】 |
・神経線維の走行が見える
3T-MRI装置の高いS/Nを利用してスライス厚を薄くした拡散テンソル画像が可能になり、神経線維の走行を画像化する高画質の拡散テンソルtractographyが可能となり、脳腫瘍の手術などに役立っています。
拡散テンソル画像
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脳梗塞部位と脳神経線維の位置関係が明確に描出され症状との関連性についての把握に役立っています。 |
RI検査(核医学検査)
血管撮影検査(Angiography アンギオグラフィ)
PET検査
放射線治療
放射線治療とは
◆現在がん治療は、手術・抗がん剤・放射線治療の3本柱で行われています。
その中で放射線治療は、手術のように身体を切ることなく行われることで腫瘍のある臓器の形態や機能を損なうことが少なく、抗がん剤療法より全身への副作用が少なく行われる治療法です。
◆目的に応じて抗がん剤と併用して放射線治療が行われる場合や、
手術の術前・術中・術後などに放射線治療が行われる場合もあります。
放射線治療の特徴
放射線治療は即効性のないのが普通です。放射線は主に細胞の中のDNAを切断することで身体の細胞に影響を与えます。そのとき、正常細胞のDNAも切断されてしまいますが、正常細胞ではDNAの切断は修復され回復します。
腫瘍細胞ではうまく修復されず致死的障害になります。
細胞の分裂する速度によって速ければ効果も早く出てきます。
前立腺の強度変調放射線治療の計画
放射線治療の種類
【外部照射】放射線治療を行う多くの方がこの照射法で行われます。 |
CLINAC |
【内部照射】直接身体に放射線を発生する針等を刺入したり、子宮のような腔内に管を入れて、その中に放射線を発生する線源を出し入れすることにより身体の内部より放射線を照射する方法です。 腔内に管を入れて行う場合はRALS(Remote After Loading System)という機器を用います。この場合も身体が放射能をもつことはありません。 患部に放射線を発生させる線源を埋め込んだ場合でも身体内に放射能を埋め込むので一定の期間周囲への注意が必要だが約2か月で埋め込み時より線源の強さが半分になり、約一年で周囲への影響はほとんどなくなります。 |
RALS |
放射線治療の進め方
・放射線治療医が診察を行い、さまざまな検査結果を参考に治療する方法を選択し、
放射線が投与されます。
・通常1日2Gy(グレイ)前後の照射線量で、土日祝日を除く毎日照射を行い、
2週から6週間程度に分割して放射線を照射します。
・照射期間中に照射によって縮小した腫瘍に対して照射範囲を小さくしたり、副作用の出やすい
臓器を避けるため、照射方向を変えたりするため再度治療計画を行うこともあります。
・一人一人の治療の目的や、照射する部位などによって
放射線治療医が最適な放射線の照射線量と照射期間を決めます。
放射線治療での副作用
・放射線治療での副作用は治療範囲以外には放射線は照射されていないので
基本的には照射範囲以外にはあらわれません。
・照射部位により脳・頭頸部領域では頭痛・吐き気、脱毛、口内乾燥、口腔・咽頭の粘膜炎、
胸部・腹部領域では食道炎、放射線肺炎、胃炎・十二指腸炎、
骨盤領域では膀胱炎、下痢などがあります。
外部照射では皮膚を介して放射線は体内に照射されるので皮膚炎をおこす場合もあります。
・しかし、副作用には個人差があり誰にでもあらわれるというわけではありません。